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吉井和哉「BEAUTIFUL」

「BEAUTIFUL」は、”吉井和哉”名義での最初のシングル曲。

アルバム「39108」収録。

今回からしばらく吉井和哉強化期間、になればいいなあ。

 

「TALI」から始まった、暗くて内向的な

"YOSHII LOVINSON"の時代に一応は終止符を打ち、

"吉井和哉"として再出発したその一発目の曲。

とは言っても収録アルバム「39108」は

ポジティブとネガティブの比率がようやく4:6

ぐらいにはなってきたかな、という空気感ではあるのだが。

そしてこの曲は、どちらかというならポジティブ曲だろうか。

 

公園で揺れている小さな花

僕たちの純粋な愛に咲いた

公園で揺れている小さな花=我が子、と解釈して

子ども、あるいは家族について歌った曲という目線に立てば

歌詞はおおよそ理解できると思われる。

何気ない日常の幸せを噛みしめるような

暖かみのある言葉が全体的に並んでいる。

公園で散歩もいいじゃないか

簡単な格好でいいじゃないか

コンビニの菓子パンでいいじゃないか

なんていう歌詞が、ほどよい力の抜け具合と

心の余裕を感じさせてくれて心地よい。

このくだりは、ものすごく陳腐な言葉にすれば

「君といればどんな状況でも幸せだよ」

「君さえいればいつでも笑顔になれるよ」

みたいに言い換えることができるかもしれない。

自分で書いてて恥ずかしくなるような表現だけど。

逆にいえば、それをこういう言葉で

表現できているのがこの曲の良さだろう。

 

公園の噴水は何時までか

僕たちがそれを知ったって意味ないか

人類の愛情は元気かとか

結局人間はひとりかとか

分からない方がBEAUTIFUL

 とか、こういう部分が

なんとなく吉井和哉はトンネルを抜けたんだなあと

思わせてくれる部分。

ついこの間まで愛とか孤独について延々考えて

苦しんでいた時期があったと思うのだが

それがついに 「知らないものは知らない」

とでもいうような境地に達している。

それも、開き直りのような形ではなく

そのほうがむしろ良い、とまで言っている。

色々悩んだ末に、こういう風に

ものごとを肯定できたならいいなあなんて

そんなことを思わせてくれる歌詞だ。

 

 

最後に、この曲を好きになったきっかけの歌詞について。

愛とはなぜか 厳しくて苦しいって

恋との違い知って

愛とは厳しい。それは自分がそれまでぼんやりと

思っていたことと一致していて、

だからこの歌詞が自分の考えを言い当ててくれたようで

嬉しかったことを覚えている。

ただし、自分がそう思うに至ったのは

聖書やキリスト教の影響によるところが大きい。

三浦綾子さんの「塩狩峠」で

主人公が一人の人間を徹底的に愛そうとして

逆に大きな挫折に直面するシーンがあるのだが

自分の考える「愛とは厳しい」という意味は

そのあたりに通じるものがある。

おそらく自分とは全く別の人生経験、アプローチで

「愛とは厳しい」に思い至った吉井和哉

自分の考える愛の厳しさは、一致しているのだろうか?

あるいは、自分も妻子を得た時に改めて

愛とは厳しいのだなと思い知らされる瞬間が

来るのだろうか?

そんなことも考えているが、とりあえず今のところは

「分からない方がBEAUTIFUL」

ということでお茶を濁している。

そこの部分がはっきりしなくても

別にいいかと思えるぐらいには好きな曲だから。

 

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