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スピッツ「ジュテーム?」

「ジュテーム?」は、スピッツ9枚目のアルバム「ハヤブサ」収録の曲。

Je t'aimeは、フランス語で「愛してる」の意。

 

 

昔、youtubeにねごととandymoriのラジオで

この曲をカバーした音源が存在していて、

結構いい感じで気にいっていたのだが、2019年3月現在、

どうやら削除されてしまったようだ。

ただ、探してるうちに今度は小山田壮平が一人で弾き語っている動画を見つけた。

これはこれで味わい深いカバーになっていて嬉しい。

ただ、動画は消される前に確保しないといけないなと痛感させられた。

 

 

閑話休題

ネット上で、この曲は「不倫をうたっている?」

という風な解釈されることもあるらしい。

その原因としては、

嬉しいぬくもりに包まれるため

いくつもの間違い重ねてる

君がいるのはいけないことだ

悩み疲れた 今日もまた

という歌詞によるところが大きいようだ。

 

ただ個人的にはあまりそうは思わない。

「君がいる」のが「素敵なこと(1番)」であり

なおかつ「いけないこと(2番)」であるという状況は、

別に不倫ではない、普通の恋だったとしても

あり得る状況だと思うからだ。

そもそも「君がいるのは」という歌詞にしても

「君といる」わけではないし、なんなら「君」に

想いが伝わっていたり、恋が成就しているとも言っていない。

君が存在してくれる、ただそれだけ。

そんな慎ましやかな喜びを噛みしめているだけ。

君があまりにも素敵だから悩ましい。

幸せなような、しんどいような、でもやっぱり

これ以上の幸せはないような、そんな瞬間を

この曲は思わせてくれる。

 

そもそも「いけないこと」という言葉の意味にしても、

背徳的という意味の可能性もあれば

水の音を聞くたび いけない想像めぐらす

(「優しくなりたいな」)

 という、ソッチの意味の可能性もあるので、なんとも言えないところ。

 

ほかにも、

カレーの匂いに誘われるように

夕闇を駆けだす生き物が

ジュテーム! これからも

という歌詞も非常に秀逸。

「カレーの匂い」という穏やかで郷愁すら感じさせてくれる

単語と、夕闇を駆けだす衝動性が入り混じっているのが面白い。

 

そんな、なんとも言えない気持ちが混在した歌詞が

アコギ一本に乗って歌われるこの曲は、

シンプルゆえとても美しい。

 

コード進行も、Key=Cのままほとんどスケールアウトがない。

唯一、サビ前にC7が入るだけで、あとは

コードを覚えたての素人でも組み立てられそうな進行だ。

収録アルバム「ハヤブサ」は実験的で変化球的な曲が多いのだが

そんな中である意味、一番男らしい直球勝負の楽曲とも言える。

だからこそ、シンガーソングライター草野マサムネ

魅力がこれ以上ない純度で詰まった名曲と言えるだろう。

 

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