ああブログ

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THE YELLOW MONKEY「I LOVE YOU BABY」

 「I LOVE YOU BABY」は、THE YELLOW MONKEY

5thアルバム「FOUR SEASONS」収録曲。

  

吉井和哉は嘘つきだ。

もちろん常に嘘ばっかり言ったり歌ったり

してるわけではないのだが、

たまにいけしゃあしゃあと嘘をつく。

個人的に一番分かりやすい例だと思うのは

吉井和哉ソロの「ノーパン」という曲だ。

この曲のタイトルについて、雑誌かネットのインタビューで

「ノー・パン(右にも左にも触れていないこと)という意味だ」

と答えていたものがあったと思うのだが、

「いやいやあんたのことだから

絶対「ノー・パンツ」の意味でしょ(笑)」

と心の中で突っ込まずにはいられなかった。

また、「赤ちゃんがノーパンでいるという歌ですよ」なんて

話していた記事もどこかで読んだ記憶がある。

ノーパンで笑うあなたが愛しいよ

町の下品な女とは比べ物にならない

ノーパンで点ける煙草が思い出す

こんなありさまでよくも言えたものだ(笑)

 

ただ、吉井和哉の嘘というのは

身も蓋もない言葉を避けるというか

無粋になってしまわないように、とか

そういう意図のあるものが多いのかな、ということも

何となく感じている。

嘘というより建前と言った方が適切なのかもしれない。

 

というわけでようやく表題曲の話になるのだが

この曲はサビで「アイラビューベイベー」と

何度も繰り返し歌われている。

自分の第一感では、これは嘘っぽいと思った。

なぜならこの曲において、「僕」は

完全にエロい目でしか「君」を

見ていないように思えるからだ(笑)

真夏にアイスを買いに行くように

願いを絡めて吸いついてくれ

君の生き方とイキかたが大好きさ

男女の夜の歌であるのは間違いないとして、

この曲の「僕」はどうも性欲が先んじていて

欲望と勢いのまま突っ走っているかのような。

曲調もそういった雰囲気を醸し出している。

足かせという名の幸せの

鎖を外す鍵を探す

何時までここにいられるの

という歌詞からは、なんとなく恋人同士というよりは

一晩限りの関係、あるいは相手という印象を受ける。

そんな文脈での「アイラビューベイベー」という言葉は

口説き文句であり、相手をその気にさせる嘘。

そんな解釈も自然なのかなと。

 

そもそも吉井和哉は、あまり歌詞に

「愛してる」とか「I LOVE YOU」とか

そういう言葉を使わない印象が強い。

全曲の歌詞が頭に入っていたり

あるいは歌詞を全て調べたわけではないのだが

おそらくこの印象は間違っていないと思う。

「Father」や「HATE」の「愛してる」はおそらく

親子の愛についての言及だし、

ソロになってからの曲だと

ホワイ?ネガマン

愛をラブと訳すのは嫌いかい?

そう 悩んだ 好きで悩んだ

(「ポジネガマン」)

と、愛あるいはラブという言葉への

こだわりのようなものも見て取れる。

自分の考えでは、吉井和哉という人は

「愛してる」とかそういう類の

感情を表現する時は、

あえてストレートな表現は使わないと思うのだ。

それは、たとえば「JAM」の

こんな夜は 会いたくて

会いたくて 会いたくて

君に会いたくて 君に会いたくて

であったりとか、

以前記事にした「TALI」

結婚しようよベイベー

であったり、そういうところに宿っているんじゃないかと。

なのでまた「JAM」についての記事で

そのへんも書き殴ってみたいのだが

下書き状態のままなかなか難産になっている。

 

というわけで話を「I LOVE YOU BABY」に戻すのだが

あまりにも堂々とアイラブユーを連呼するのが

かえって白々しい気がするので

このアイラブユーの第一感は嘘、であった。

しかし聞いてるうちに

半分ぐらいは本当なのかな、とも思うようになった。

動機が性欲であったとしても、ノットイコール愛、と

いうのもまた極論だと思うからだ。

というか「愛」か「性欲」か?なんて

男にとってはおそらく答えの出ない永遠のテーマだろう。

吉井和哉イエモン時代はギラギラしまくっている

曲を量産していたが、ソロになるとむしろ

「欲望」や「煩悩」はいらない、と歌う曲が多くなったし

「もうちんちんなんていらないのに(笑)」なんて

インタビューで話すことさえあった。

前回の記事「LOVE LOVE SHOW」

愛には形がないよとかいうけど

触れられなければ淋しいもんだよね

という考え方も踏まえて、

この曲は嘘半分、本音半分というのが今の結論。

ただしここまでこの曲について全然褒めていなかったけれども

この曲は歌も演奏も本当にかっこいい。

「半分嘘でもまあいいか」なんて

男の自分ですら思ってしまう。

こんな風に「嘘」や「建前」を上手く使えるのが

イエモン、及び吉井和哉

女性ファンが多い理由の一端なのかもしれない。

 

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